1970年前後の黒人音楽入門(ニュー・ソウル編) [音楽]
60年代から70年代へ移行する際に、ロックもそうだったけれども、黒人音楽も明らかに変化した。
その際のムーブメントを「ニュー・ソウル」と呼ぶらしい(日本だけみたいだが)んだけど、それ以前と以後では何が違うのか。
自分なりに思うところでは。
プロデューサー、作曲家、演奏家とそれぞれ分業され、各レコード会社で「会社の音の色」みたいなものがはっきりしていた(モータウン、スタックス…)
歌い手は、基本的に会社から与えられたものを歌うエンターテイナーから、アーティストへ変貌した。
それまでのように、「愛」や「恋」をハッピーに歌うのではなく、そういうものを歌っても私小説的なものになったり、世の中の動き(ヴェトナム戦争だったり、黒人社会の貧困とか)に対して、自分がどう思うかを率直に作品にした。
当時の白人音楽のフォーク~シンガーソングライターの影響があると思う。
演奏も楽曲の一部で、演奏についても「聴かせる」ものが増えた。
また、楽器の演奏経験を持つものが多く(例えば、カーティス・メイフィールドだったらギター、ダニー・ハサウェイだったらエレピやピアノ、マーヴィン・ゲイだったらドラム→パーカッション)、それらを効果的に楽曲に導入した。
また、ジャズの影響が大きい。
これまではアルバムはシングルの寄せ集め的なものだったが、上記の事柄などから、アルバム単位で音や歌詞の統一感がより鮮明に出てくるようになり、「聴ける」アルバムが多くなった。
では、主要なアーティストごとに、どのような音楽をやっていたのかを、可能な限り映像を使って書いてみたいと思う。
【カーティス・メイフィールド】
カーティスは、ゴスペルを基礎としたR&Bコーラスグループのインプレッションズの一員だった。
徐々に黒人を意識した作品を作るようになり、1965年に出された公民権運動の高まりを背景にしたナンバー「ピープル・ゲット・レディ」は、神への信仰というよりは明らかに政治的な歌詞であり、スタンダード・ナンバーとして、今に歌い継がれている。
The Impressions "It's all Right"
※グループ最大のヒット曲(1962年)
The Impressions "People get ready"
※ボブ・マーリーの「ワン・ラブ」とのメドレーや、ロッド・ステュワートなどによるカバーでも有名。
カーティスはインプレッションズを脱退し、1970年に初のソロアルバム「カーティス」を発表する。
インプレッションズではやれずに溜まっていたものが、一気に放出されたって感じで、色々と実験しつつ聴いていて高揚感に包まれる大好きな1枚。
アルバムの出だしでベースが「ブンブブブブブー」って鳴って、パーカッションが被ってきて、カーティスが「SISTERS,NIGGERS,WHITIES,JEWS,CRACKERS,Don't Worry If There's Hell Below We're All Gonna Go」って呼びかけた後にシャウトして、ホーンとストリングスとワウワウ使ったギターが入ってきて演奏が始まるのだけど、兎に角かっこよい。
アルバム全体では、「ムーブ・オン・アップ」に代表されるファンク系の曲とウォームなスロー系の曲がうまく絡んでます。
ソウルの記念碑的傑作!
Curtis Mayfield "Move on up"
※カーティスを代表する曲。アルバムだと、この後にパーカッションとホーンがいい感じのインストパートがあって、
その部分が個人的に大好きだったりする。
The Jam "Move on up"
※ポール・ウェラーがやってたジャムも解散時にこの曲をカバーしてたりする。
何を隠そう、この曲はジャムのバージョンで初めて知ったりしたのだけど。
カーティスは、70年代中盤まで多くのアルバムを作ってそれが皆(個人的には)レベル高いものだったりするので、以降は簡単なアルバム紹介を。
70年代
Donny Hathaway Liveにも劣らぬ、名ライヴアルバム
感情のたかぶり、感嘆の溜息。
このグルーブは、素晴らしい(もちろんメロディーも)
1971年のニューヨークは「ビター・エンド」でのライブ盤。
前作「カーティス」と異なり、ギター・ベース・ドラム・パーカッションのシンプルなバンド編成。
観客との距離が非常に近く感じられ、その分、グルーブ感や緊張感が聴き手にも伝ってくる。
インプレッションズ時代の曲もカバー。
黒い、そして力強い
黒い、そして力強い
1971年作「ルーツ」。「カーティス」と次の「スーパー・フライ」に挟まれ、また、大ヒット曲も入っていないことから地味な存在だけども、黒っぽい感じが結構悪くないと思う。
Curtis Mayfield "Get down"
※アルバム「ルーツ」の1曲目。
リズム、リズム、リズム
とにかく格好の良い音楽
シカゴソウル
ブラック.ムービーのサントラで最高
「スーパーフライ」は、1973年作の同名映画のサントラ。
「カーティス」や「ルーツ」に比べて、ストリングスやホーンが控えめなこともあり、非常にクールな音。
カーティスを最初に聴くとしたら、このアルバムか?
Curtis Mayfield "Freddie's dead"
※アルバム「スーパーフライ」からのファーストシングル。
Curtis Mayfield "Superfly"
※アルバム「スーパーフライ」のタイトルナンバー。
イントロのベースからして、無茶クール過ぎる…
「バック・トゥ・ザ・ワールド」は1973年のソロ5作目。
アルバム・ジャケットから分かるとおり、ヴェトナムに行っている黒人同胞兵士に、地獄からの帰還を呼びかけ、世界平和を訴えたアルバム。
下の2曲見てもらえれば分かるとおり、これも傑作。
Curtis Mayfield "Back to the world"
※アルバムタイトルナンバーかつ、オープニング曲。
Curtis Mayfield "Future shock"
※アルバム2曲目。実にこれまたかっこよい曲。
【ダニー・ハサウェイ】
幼い頃からピアノを、また、大学でクラシックを学んでいる。
このため、アレンジ能力に優れていること、黒人社会の問題を曲にしていたことと、白人の曲でも自分流にカバーしていた特長がある。
惜しむらくは、活動が1970年から73年の4年間に過ぎない(その後、心の病(「妄想型の総合失調症」と英語版のwikipediaにはあった。)で表立った活動は行わず、1979年に33歳で亡くなっている。)ことである。
Donny Hathaway ”The Ghetto”
※この曲のインスト部分の映像、エレピ馬鹿かっこよいっす。ファースト「新しきソウルの光と道」とライブに収録。
Donny Hathaway ”Put your hands in the hand”
※セカンド「ダニー・ハサウェイ」に収録。
Donny Hathaway ”Someday we'll all be free”
※正にタイトルどおりの感動的な曲。ラストアルバム「愛と自由を求めて」に収録。
Donny Hathaway ”Love love love”
※これもラストアルバム「愛と自由を求めて」に収録。
ダニー・ハサウェイのアルバムは、ロバータ・フラックとのデュエットを含めてどれも悪くないのだけども、あえてどれを聴けば…となると、とりあえずは次の2枚か?
D.ハザウェイ、傑作ライブ
脱帽
ライブ盤って、実はそれほど好きじゃないのだけども、これは文句なしに好きだ。
上記のカーティスのライブと同じ場所で録音されているのだけども、見てる客の反応がダイレクトに伝わってきて、聴いてるこちら側にも凄い臨場感がある。
自分の曲だけじゃなくて、マーヴィンやジョン・レノンやキャロル・キングのカバーもやってて、それが見事に自分流になっており、また、客も親しみやすいから余計反応がよくなってるという感じ。
センチメンタル・ダニ−
才能だけでは生み出せない音楽
最新24ビット・デジタル・リマスタリングがすばらしい
いつか自由に
スタジオ盤だったら、このダニー最後の作品(1973年)かな。
兎に角、1曲目のオーケストラの曲から、2曲目の「サムディ・ウィル・オール・ビー・フリー」に続く辺りは、ホント鳥肌モノです。
【マーヴィン・ゲイ】
マーヴィンの人気を60年代中旬ごろに決定付けたタミー・テレルとのデュエットは、彼女が1970年に脳腫瘍のため24歳の若さで亡くなってしまい終わりを告げた。
そのショックから対人恐怖症となったマーヴィンは1年間音楽の世界から遠ざかる。
Marvin Gaye&Tammi terrel "Ain't no mountain high enough"
※今でもこれを聴くと脳みそが溶けそうなほど好きな曲。
史上最強・永遠のデュオの(ほぼ)すべてがここに!
心に響く歌
これまでのようなモータウン風のスウィートなラブソングは歌えない心境のところに、ベトナムから復員してきた弟と久々の再会をし、その体験を聞いた彼は、それを題材とした音楽を作る気になった。
それがアルバム「ホワッツ・ゴーイン・オン」(1971年)である。
これまで、モータウンの枠組みの中で単なる歌い手であったマーヴィンが、自分で曲も書き、プロデュースもする権利を勝ち取っったことや、前述のヴェトナム戦争、公害問題、黒人の都市生活、宗教(彼は牧師の子供である。)などを題材とし、また、当時の黒人音楽ではアルバムはヒット曲の寄せ集め的な存在だったのが、アルバム単位で統一感を持った(歌詞だけでなく音でも)数少ない存在となったなど、数多くの影響を与えたアルバムとなった。
Marvin Gaye "What's going on~What's happening brother"
確かなLOVE&PEACE
あぁ、ジェマーソン・・・
全音楽ファン必須の1枚。
人類史に残る名アルバム
※A面(1~6曲目)の曲の繋がり方は、ホントに凄いなあと思う。
モータウンに入った当初はドラマーとしても活動してたらしいけど、
パーカッションがかっこよいのはその影響か?
サントラ「トラブル・マン」(1972年)を挟み、次に出したアルバムが「レッツ・ゲット・イット・オン」(1973年)である。
このまま社会派路線を行くかと思えば、タイトルを直訳すれば「…しようぜw」ってな具合で、見事なまでの直球性愛路線だ。
Marvin Gaye "Come get to this"
あんまり直球過ぎて、7曲目とかは女性のそういう声がバックに流れてきて、流石にそこまで行くと苦笑せざるを得ないのだけども、アルバム通してよい曲多いです。
愛の名作
「What's Going On」のセクシーな続き
「What's Going On」のセクシーな続き
マーヴィンは、牧師の父親に常軌を逸した体罰を伴った厳しい躾や精神的虐待を受けて育てられたらしく、それが原因か、精神的に非常に弱い人だったらしい。(そのために、過度の浪費やドラッグや女性に走って破産寸前になってしまったうえ、結局、80年代になって牧師の父親に射殺されるという悲劇的な結末を迎える。)
ステージに上がって人前で歌うことがずっと苦痛だった彼が、レコードの中だったら自分を全て曝け出して表現が出来たのかなあとも思ってみたり。
この「私小説」路線は、1978年の「離婚伝説」(妻との慰謝料を作るために制作したアルバム)である種のピークを迎える(しかし、やっぱ凄い邦題だ)のだけども、このアルバムの話はまた別な機会に…
(結構好きなのだ。)
【スティーヴィー・ワンダー】
Little Stevie Wonder "Fingertips"
ステーヴィーは、13歳の時に「フィンガーティップス」が全米1位になって以来、モータウンのスターであったけども、マーヴィンと同じ1970年に自曲のセルフ・プロデュースの権利を手にし、また、シンセサイザーと出会う。
Stevie Wonder "Superstition"
※アルバム「トーキング・ブック」(1972年)に収録。
ジェフ・ベックのバンド、ベック・ボガード&アピス用に書いた曲だけど、
自分のほうがヒットしてしまった。
っていうか、この映像かっこよくない?
Stevie Wonder "Living for the City"
※アルバム「インナーヴィジョンズ」に収録。
Stevie Wonder "Higher Ground"
※アルバム「インナーヴィジョンズ」に収録。レッチリがカバーしたことでも有名。
完璧な作品!
超えるものを聴いたことがない
ロックフィールドにも通用する一生盤
神懸かりな作品
※この時期のスティーヴィーのアルバムだったら、個人的にはこれ。
【アイザック・ヘイズ】
去年亡くなってしまったけど、60年代はスタックス・レコードでプロデュースや作曲を行い、サム&デイブの「ホールド・オン」や「ソウル・マン」を手がける。
パフォーマーとして知られるようになったのは、1969年の自身のアルバム「ホット・バタード・ソウル」や71年の映画「シャフト」(邦題「黒いジャガー」)のサントラを制作してから。
Isaac Hayes "Walk On By"
※バート・バカラック曲のカバー。アルバム「ホット・バタード・ソウル」に収録。
Isaac Hayes "Theme From Shaft"
※映画「黒いジャガー」のテーマ曲。
アイザック・ヘイズのアルバムでは、映画"Three Tough Guys"のサントラが好き。
1曲目のテーマ曲はファンキーでかっこよいし、「ラン・フェイ・ラン」は、タランティーノ監督の「キル・ビルVOL.1」でも使われていた。
【ビル・ウィザース】
Bill Withers "Use Me"
※日産のCM曲でも使われてたんで、聴いたことある人もいると思う。
※クラブ・ヌーヴォーのカバーでも有名って、これ読んでる人はそんな四半世紀以上の話知らないよな…
ニューソウルか?
※上記2曲が収録。渋くてよいです。
私と同年代ぐらいの方は、ビル・ウィザースの名前を初めて知ったのはグローバー・ワシントンJr.の"just The Two Of Us"(邦題「クリスタルな恋人達」)で歌ってたからだという人も多いのだろう。
何でこんな邦題になったのかといえば、この曲の出だしが"I see the crystal raindrops fall…"って、「クリスタル」って単語が出てくるのと、なんといっても、今やセンセイになってしまった田中康夫の処女作「なんとなくクリスタル」が当時(80年)大流行してたというのがあったりする。いかにも80年代っぽいっていえば、らしい邦題ではある。
それにしても、ビル・ウィザースのベスト盤とか買うと、この曲だけ非常に浮いてしまって困るのだ。後の曲が渋いだけに…
その際のムーブメントを「ニュー・ソウル」と呼ぶらしい(日本だけみたいだが)んだけど、それ以前と以後では何が違うのか。
自分なりに思うところでは。
(1)会社の既製品の音楽を歌い手が歌うのではなく、自ら楽曲を製作するようになった。
プロデューサー、作曲家、演奏家とそれぞれ分業され、各レコード会社で「会社の音の色」みたいなものがはっきりしていた(モータウン、スタックス…)
歌い手は、基本的に会社から与えられたものを歌うエンターテイナーから、アーティストへ変貌した。
(2)いわゆる「内省的」な作品が増えた。
それまでのように、「愛」や「恋」をハッピーに歌うのではなく、そういうものを歌っても私小説的なものになったり、世の中の動き(ヴェトナム戦争だったり、黒人社会の貧困とか)に対して、自分がどう思うかを率直に作品にした。
当時の白人音楽のフォーク~シンガーソングライターの影響があると思う。
(3)演奏を重視するようになった。
演奏も楽曲の一部で、演奏についても「聴かせる」ものが増えた。
また、楽器の演奏経験を持つものが多く(例えば、カーティス・メイフィールドだったらギター、ダニー・ハサウェイだったらエレピやピアノ、マーヴィン・ゲイだったらドラム→パーカッション)、それらを効果的に楽曲に導入した。
また、ジャズの影響が大きい。
(4)アルバム制作を重視するようになった。
これまではアルバムはシングルの寄せ集め的なものだったが、上記の事柄などから、アルバム単位で音や歌詞の統一感がより鮮明に出てくるようになり、「聴ける」アルバムが多くなった。
では、主要なアーティストごとに、どのような音楽をやっていたのかを、可能な限り映像を使って書いてみたいと思う。
【カーティス・メイフィールド】
カーティスは、ゴスペルを基礎としたR&Bコーラスグループのインプレッションズの一員だった。
徐々に黒人を意識した作品を作るようになり、1965年に出された公民権運動の高まりを背景にしたナンバー「ピープル・ゲット・レディ」は、神への信仰というよりは明らかに政治的な歌詞であり、スタンダード・ナンバーとして、今に歌い継がれている。
The Impressions "It's all Right"
※グループ最大のヒット曲(1962年)
The Impressions "People get ready"
※ボブ・マーリーの「ワン・ラブ」とのメドレーや、ロッド・ステュワートなどによるカバーでも有名。
カーティスはインプレッションズを脱退し、1970年に初のソロアルバム「カーティス」を発表する。
インプレッションズではやれずに溜まっていたものが、一気に放出されたって感じで、色々と実験しつつ聴いていて高揚感に包まれる大好きな1枚。
アルバムの出だしでベースが「ブンブブブブブー」って鳴って、パーカッションが被ってきて、カーティスが「SISTERS,NIGGERS,WHITIES,JEWS,CRACKERS,Don't Worry If There's Hell Below We're All Gonna Go」って呼びかけた後にシャウトして、ホーンとストリングスとワウワウ使ったギターが入ってきて演奏が始まるのだけど、兎に角かっこよい。
アルバム全体では、「ムーブ・オン・アップ」に代表されるファンク系の曲とウォームなスロー系の曲がうまく絡んでます。
カーティス・メイフィールド
ビクターエンタテインメント (1998-07-08)
売り上げランキング: 333346
ビクターエンタテインメント (1998-07-08)
売り上げランキング: 333346
おすすめ度の平均:
Curtis Mayfieldの原点ソウルの記念碑的傑作!
Curtis Mayfield "Move on up"
※カーティスを代表する曲。アルバムだと、この後にパーカッションとホーンがいい感じのインストパートがあって、
その部分が個人的に大好きだったりする。
The Jam "Move on up"
※ポール・ウェラーがやってたジャムも解散時にこの曲をカバーしてたりする。
何を隠そう、この曲はジャムのバージョンで初めて知ったりしたのだけど。
カーティスは、70年代中盤まで多くのアルバムを作ってそれが皆(個人的には)レベル高いものだったりするので、以降は簡単なアルバム紹介を。
Curtis/Live!
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Curtis Mayfield
Sunspot (2000-08-15)
売り上げランキング: 11147
Sunspot (2000-08-15)
売り上げランキング: 11147
おすすめ度の平均:
その人の音楽=その人の人間性 70年代
Donny Hathaway Liveにも劣らぬ、名ライヴアルバム
感情のたかぶり、感嘆の溜息。
このグルーブは、素晴らしい(もちろんメロディーも)
1971年のニューヨークは「ビター・エンド」でのライブ盤。
前作「カーティス」と異なり、ギター・ベース・ドラム・パーカッションのシンプルなバンド編成。
観客との距離が非常に近く感じられ、その分、グルーブ感や緊張感が聴き手にも伝ってくる。
インプレッションズ時代の曲もカバー。
Curtis Mayfield
Rhino/WEA (1999-01-19)
売り上げランキング: 90916
Rhino/WEA (1999-01-19)
売り上げランキング: 90916
おすすめ度の平均:
Curtisサウンドの確立黒い、そして力強い
黒い、そして力強い
1971年作「ルーツ」。「カーティス」と次の「スーパー・フライ」に挟まれ、また、大ヒット曲も入っていないことから地味な存在だけども、黒っぽい感じが結構悪くないと思う。
Curtis Mayfield "Get down"
※アルバム「ルーツ」の1曲目。
スーパーフライ・25TH・アニヴァサリー・エディション
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カーティス・メイフィールド
ビクターエンタテインメント (1998-07-08)
売り上げランキング: 54144
ビクターエンタテインメント (1998-07-08)
売り上げランキング: 54144
おすすめ度の平均:
最高のサウンドトラックリズム、リズム、リズム
とにかく格好の良い音楽
シカゴソウル
ブラック.ムービーのサントラで最高
「スーパーフライ」は、1973年作の同名映画のサントラ。
「カーティス」や「ルーツ」に比べて、ストリングスやホーンが控えめなこともあり、非常にクールな音。
カーティスを最初に聴くとしたら、このアルバムか?
Curtis Mayfield "Freddie's dead"
※アルバム「スーパーフライ」からのファーストシングル。
Curtis Mayfield "Superfly"
※アルバム「スーパーフライ」のタイトルナンバー。
イントロのベースからして、無茶クール過ぎる…
Back to the World
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Curtis Mayfield
Charly (UK) (1994-06-01)
売り上げランキング: 814945
Charly (UK) (1994-06-01)
売り上げランキング: 814945
「バック・トゥ・ザ・ワールド」は1973年のソロ5作目。
アルバム・ジャケットから分かるとおり、ヴェトナムに行っている黒人同胞兵士に、地獄からの帰還を呼びかけ、世界平和を訴えたアルバム。
下の2曲見てもらえれば分かるとおり、これも傑作。
Curtis Mayfield "Back to the world"
※アルバムタイトルナンバーかつ、オープニング曲。
Curtis Mayfield "Future shock"
※アルバム2曲目。実にこれまたかっこよい曲。
【ダニー・ハサウェイ】
幼い頃からピアノを、また、大学でクラシックを学んでいる。
このため、アレンジ能力に優れていること、黒人社会の問題を曲にしていたことと、白人の曲でも自分流にカバーしていた特長がある。
惜しむらくは、活動が1970年から73年の4年間に過ぎない(その後、心の病(「妄想型の総合失調症」と英語版のwikipediaにはあった。)で表立った活動は行わず、1979年に33歳で亡くなっている。)ことである。
Donny Hathaway ”The Ghetto”
※この曲のインスト部分の映像、エレピ馬鹿かっこよいっす。ファースト「新しきソウルの光と道」とライブに収録。
Donny Hathaway ”Put your hands in the hand”
※セカンド「ダニー・ハサウェイ」に収録。
Donny Hathaway ”Someday we'll all be free”
※正にタイトルどおりの感動的な曲。ラストアルバム「愛と自由を求めて」に収録。
Donny Hathaway ”Love love love”
※これもラストアルバム「愛と自由を求めて」に収録。
ダニー・ハサウェイのアルバムは、ロバータ・フラックとのデュエットを含めてどれも悪くないのだけども、あえてどれを聴けば…となると、とりあえずは次の2枚か?
ダニー・ハサウェイ
Warner Music Japan =music= (2008-09-24)
売り上げランキング: 6004
Warner Music Japan =music= (2008-09-24)
売り上げランキング: 6004
おすすめ度の平均:
良いです!D.ハザウェイ、傑作ライブ
脱帽
ライブ盤って、実はそれほど好きじゃないのだけども、これは文句なしに好きだ。
上記のカーティスのライブと同じ場所で録音されているのだけども、見てる客の反応がダイレクトに伝わってきて、聴いてるこちら側にも凄い臨場感がある。
自分の曲だけじゃなくて、マーヴィンやジョン・レノンやキャロル・キングのカバーもやってて、それが見事に自分流になっており、また、客も親しみやすいから余計反応がよくなってるという感じ。
愛と自由を求めて+1
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ダニー・ハサウェイ
Warner Music Japan =music= (2008-09-24)
売り上げランキング: 2791
Warner Music Japan =music= (2008-09-24)
売り上げランキング: 2791
おすすめ度の平均:
最新リマスター盤よりこちらをおすすめしますセンチメンタル・ダニ−
才能だけでは生み出せない音楽
最新24ビット・デジタル・リマスタリングがすばらしい
いつか自由に
スタジオ盤だったら、このダニー最後の作品(1973年)かな。
兎に角、1曲目のオーケストラの曲から、2曲目の「サムディ・ウィル・オール・ビー・フリー」に続く辺りは、ホント鳥肌モノです。
【マーヴィン・ゲイ】
マーヴィンの人気を60年代中旬ごろに決定付けたタミー・テレルとのデュエットは、彼女が1970年に脳腫瘍のため24歳の若さで亡くなってしまい終わりを告げた。
そのショックから対人恐怖症となったマーヴィンは1年間音楽の世界から遠ざかる。
Marvin Gaye&Tammi terrel "Ain't no mountain high enough"
※今でもこれを聴くと脳みそが溶けそうなほど好きな曲。
エイント・ノーマウンテン・ハイ・イナフ~マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル・コンプリート・デュエッツ
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マーヴィン・ゲイ&タミー・テレル
ユニバーサル インターナショナル (2002-03-06)
売り上げランキング: 49170
ユニバーサル インターナショナル (2002-03-06)
売り上げランキング: 49170
おすすめ度の平均:
最高のデュエット史上最強・永遠のデュオの(ほぼ)すべてがここに!
心に響く歌
これまでのようなモータウン風のスウィートなラブソングは歌えない心境のところに、ベトナムから復員してきた弟と久々の再会をし、その体験を聞いた彼は、それを題材とした音楽を作る気になった。
それがアルバム「ホワッツ・ゴーイン・オン」(1971年)である。
これまで、モータウンの枠組みの中で単なる歌い手であったマーヴィンが、自分で曲も書き、プロデュースもする権利を勝ち取っったことや、前述のヴェトナム戦争、公害問題、黒人の都市生活、宗教(彼は牧師の子供である。)などを題材とし、また、当時の黒人音楽ではアルバムはヒット曲の寄せ集め的な存在だったのが、アルバム単位で統一感を持った(歌詞だけでなく音でも)数少ない存在となったなど、数多くの影響を与えたアルバムとなった。
Marvin Gaye "What's going on~What's happening brother"
What's Going on
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Marvin Gaye
Motown (2003-01-14)
売り上げランキング: 5181
Motown (2003-01-14)
売り上げランキング: 5181
おすすめ度の平均:
長々と書くつもりはない単純に確かなLOVE&PEACE
あぁ、ジェマーソン・・・
全音楽ファン必須の1枚。
人類史に残る名アルバム
※A面(1~6曲目)の曲の繋がり方は、ホントに凄いなあと思う。
モータウンに入った当初はドラマーとしても活動してたらしいけど、
パーカッションがかっこよいのはその影響か?
サントラ「トラブル・マン」(1972年)を挟み、次に出したアルバムが「レッツ・ゲット・イット・オン」(1973年)である。
このまま社会派路線を行くかと思えば、タイトルを直訳すれば「…しようぜw」ってな具合で、見事なまでの直球性愛路線だ。
Marvin Gaye "Come get to this"
あんまり直球過ぎて、7曲目とかは女性のそういう声がバックに流れてきて、流石にそこまで行くと苦笑せざるを得ないのだけども、アルバム通してよい曲多いです。
Let's Get It on
posted with amazlet at 09.01.19
Marvin Gaye
Motown (2003-01-14)
売り上げランキング: 51634
Motown (2003-01-14)
売り上げランキング: 51634
おすすめ度の平均:
It I Should Die Tonight なんて鳥肌もん愛の名作
「What's Going On」のセクシーな続き
「What's Going On」のセクシーな続き
マーヴィンは、牧師の父親に常軌を逸した体罰を伴った厳しい躾や精神的虐待を受けて育てられたらしく、それが原因か、精神的に非常に弱い人だったらしい。(そのために、過度の浪費やドラッグや女性に走って破産寸前になってしまったうえ、結局、80年代になって牧師の父親に射殺されるという悲劇的な結末を迎える。)
ステージに上がって人前で歌うことがずっと苦痛だった彼が、レコードの中だったら自分を全て曝け出して表現が出来たのかなあとも思ってみたり。
この「私小説」路線は、1978年の「離婚伝説」(妻との慰謝料を作るために制作したアルバム)である種のピークを迎える(しかし、やっぱ凄い邦題だ)のだけども、このアルバムの話はまた別な機会に…
(結構好きなのだ。)
【スティーヴィー・ワンダー】
Little Stevie Wonder "Fingertips"
ステーヴィーは、13歳の時に「フィンガーティップス」が全米1位になって以来、モータウンのスターであったけども、マーヴィンと同じ1970年に自曲のセルフ・プロデュースの権利を手にし、また、シンセサイザーと出会う。
Stevie Wonder "Superstition"
※アルバム「トーキング・ブック」(1972年)に収録。
ジェフ・ベックのバンド、ベック・ボガード&アピス用に書いた曲だけど、
自分のほうがヒットしてしまった。
っていうか、この映像かっこよくない?
Stevie Wonder "Living for the City"
※アルバム「インナーヴィジョンズ」に収録。
Stevie Wonder "Higher Ground"
※アルバム「インナーヴィジョンズ」に収録。レッチリがカバーしたことでも有名。
Innervisions
posted with amazlet at 09.01.20
Stevie Wonder
Uptown/Universal (2000-03-21)
売り上げランキング: 35606
Uptown/Universal (2000-03-21)
売り上げランキング: 35606
おすすめ度の平均:
天才スティービーの頂点完璧な作品!
超えるものを聴いたことがない
ロックフィールドにも通用する一生盤
神懸かりな作品
※この時期のスティーヴィーのアルバムだったら、個人的にはこれ。
【アイザック・ヘイズ】
去年亡くなってしまったけど、60年代はスタックス・レコードでプロデュースや作曲を行い、サム&デイブの「ホールド・オン」や「ソウル・マン」を手がける。
パフォーマーとして知られるようになったのは、1969年の自身のアルバム「ホット・バタード・ソウル」や71年の映画「シャフト」(邦題「黒いジャガー」)のサントラを制作してから。
Isaac Hayes "Walk On By"
※バート・バカラック曲のカバー。アルバム「ホット・バタード・ソウル」に収録。
Isaac Hayes "Theme From Shaft"
※映画「黒いジャガー」のテーマ曲。
Double Feature : Music From The Soundtracks Of Three Tough Guys & Truck Turner
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Isaac Hayes
Stax (1993-03-21)
売り上げランキング: 86488
Stax (1993-03-21)
売り上げランキング: 86488
おすすめ度の平均:
inst,3in2 cdアイザック・ヘイズのアルバムでは、映画"Three Tough Guys"のサントラが好き。
1曲目のテーマ曲はファンキーでかっこよいし、「ラン・フェイ・ラン」は、タランティーノ監督の「キル・ビルVOL.1」でも使われていた。
【ビル・ウィザース】
Bill Withers "Use Me"
※日産のCM曲でも使われてたんで、聴いたことある人もいると思う。
※クラブ・ヌーヴォーのカバーでも有名って、これ読んでる人はそんな四半世紀以上の話知らないよな…
ビル・ウィザース
ソニー・ミュージックハウス (2003-04-09)
売り上げランキング: 108644
ソニー・ミュージックハウス (2003-04-09)
売り上げランキング: 108644
おすすめ度の平均:
シンプルで素朴 だけれど心に染みるニューソウルか?
※上記2曲が収録。渋くてよいです。
私と同年代ぐらいの方は、ビル・ウィザースの名前を初めて知ったのはグローバー・ワシントンJr.の"just The Two Of Us"(邦題「クリスタルな恋人達」)で歌ってたからだという人も多いのだろう。
何でこんな邦題になったのかといえば、この曲の出だしが"I see the crystal raindrops fall…"って、「クリスタル」って単語が出てくるのと、なんといっても、今やセンセイになってしまった田中康夫の処女作「なんとなくクリスタル」が当時(80年)大流行してたというのがあったりする。いかにも80年代っぽいっていえば、らしい邦題ではある。
それにしても、ビル・ウィザースのベスト盤とか買うと、この曲だけ非常に浮いてしまって困るのだ。後の曲が渋いだけに…
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