SSブログ

bird flu [メモ]

注)以下の文章は、医学知識が全くない人間が、自分のまとめ用に作ったものです。
  情報は、あくまでもこちらなどから入手してください。
   新型インフルエンザ対策関連情報(厚生労働省)
   鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集
   鳥インフルエンザ情報のページ(世界保健機構)

【インフルエンザ・ウイルスについて】
インフルエンザウィルスにはA型とB型がある。(C型もあることはある。)
人間に対し多くの感染者を出すのは通常A型。
A型は時々遺伝子が大きく突然変異し、15-20年の周期で新型ウイルスが発生する。
その新型ウィルスに対し、ヒトは免疫を持っていないことで、世界的な大流行(パンデミック)を起こすこともある。
A型インフルエンザウィルスは、糖蛋白質[ヘマグルチニン( H1 ~ H16 の 16 種類)とノイラミニダーゼ( N1 ~ N9 の 9 種類)]の違いによって、144種類の亜型に分類される。
現在、人のインフルエンザウィルスとして世界中で感染を繰り広げているのは、H1N1(ソ連型)とH3N2(香港型)。
新しいインフルエンザウイルスの侵入には、3つの段階がある。
(1)新しい亜型のインフルエンザウイルスがヒトの身近に出現する。
(2)そのウイルスがヒトの体内で増殖可能となり、ヒトで症状を起こす。
(3)ヒトからヒトへと効率よく感染する能力を獲得する。
これらの変化は、鳥インフルエンザウイルスの遺伝子に変異をおこしたり、ヒトのインフルエンザウイルスとの間で遺伝子の組み換えをおこしたりすることによって、起こると考えられている。

【鳥インフルエンザについて】
鳥インフルエンザとは、A型インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起きる鳥類の感染症。
水禽(カモ、ガンなど)、特にカモが起源と考えられ、現在知られているすべてのA型インフルエンザウイルス、H1型からH16型までと、N1型からN9型までのすべての組み合わせのウイルスを保有している。
これらのウイルスが、他の水禽や家禽(家畜として飼っている鳥類)、家畜、野生動物、そしてヒトへ感染して、その動物種のあいだで感染を起こし続けることにより、それぞれの種に適応して、それらの種の固有のインフルエンザウイルスとなる。

これまでの新型インフルエンザウイルスは、すべて鳥世界からヒト世界に侵入したウイルスから発生。

家禽類のニワトリ・ウズラ・七面鳥等に感染すると非常に高い病原性をもたらすものがあり、そのタイプを高病原性鳥インフルエンザと呼ぶ。
現在、世界的に養鶏産業の脅威となっているのはこのウイルス。

H5N1型の鳥インフルエンザウイルスは、鳥から鳥に感染するものであり、基本的に鳥以外に感染しない。
しかし、大量の感染した鳥を素手で触ったり、調理したり、また感染死亡した鳥の羽をむしることで、大量のウィルスを吸い込み、ウィルスが気管支の奥まで侵入すると、人間が発病する場合がある。
まれに発病者から直接感染したと考えられている例もあるが、ヒトインフルエンザウイルスと異なり、今のところ、ヒトからヒトへの感染拡大は確認されていない。

しかし、スペインインフルエンザウイルスは、鳥インフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスとの遺伝子組み換え(遺伝子の交換)を経ておらず、鳥インフルエンザウイルスが突然変異をおこして発生したと考えられている。
これに対してアジアインフルエンザ、香港インフルエンザをおこしたウイルスでは、鳥のインフルエンザウイルスとヒトのインフルエンザウイルスの遺伝子が組み換えをおこしてできたものと考えられている。

このため、現在発生しているH5N1亜型の鳥インフルエンザウイルスの感染が広域化・長期化しているため、ヒト社会に定着し、豚やヒトの体内で突然変異し、ヒト-ヒト感染するようになり、新型インフルエンザとなることが懸念されている。

しかし、これまでヒトにおいてパンデミックを起こしたのは、低病原性であるH1N1、H2N2、H3N2のみであり、鳥の高病原性ウイルスがヒト世界に侵入してパンデミックを起こしたという経験がないこと、また歴史上、16種類ものHA亜型のうち、ヒト世界にはH1、H2、H3亜型しか侵入した形跡はないため、現在のH5N1亜型からパンデミックが発生することはないのではという意見もある。

[世界保健機関(WHO)による現在のパンデミックインフルエンザ警報フェーズ](2005.11)

0511phase.gif


【バンデミックの事例】
1)スペイン・インフルエンザ(1918-1919)[通称:スペインかぜ]
H1N1型。
患者数は約5億~6億人。死者4000~5000万人。一説には1億人とも(ちなみに、同時期の第1次世界大戦の戦死者は900万人+非戦闘員死者1000万人)。致死率は2.5%以上。(通常のインフルエンザは、0.1%以下)
日本で約2300万人の患者と約38万人の死亡者。死亡45万人という推計も。

(1)第1波(1918.3~1918.6) アメリカ、ヨーロッパでの流行。感染性は高いが、致死性ではなかった。
(2)第2波(1918の晩秋~) 世界的流行。第1波の10倍の致死率。死亡が15~35歳の健康な若年者層で最も多かった。死亡例の99%が65歳以下の若い年齢層に発生。
(3)第3波(1919の春~秋) 世界的流行。日本ではこの期間の被害が最も大きかった。インフルエンザというと、冬の流行というイメージだが、そうでもない。

抗生物質もなく、ワクチンなど論外な時代だったため、ここまでの被害拡大に。
オーストラリアでは、事実上、国境を閉鎖したため、ウイルスの国内侵入を約6ヶ月遅らせることに成功し、そしてこのころには、ウイルスはその病原性をいくらかでも失っていたため、オーストラリアでは、流行期間は長かったものの、より軽度の被害ですんだとされている。

2)アジア・インフルエンザ(1957-1958)[通称:アジアかぜ]
H2N2型。
全世界での死亡者数は200~300万人。
日本では300万人の患者と死者5,700人。
1957.2 中国南西部→1957.4 香港→1957秋には世界中で症例を確認。
第1波では学童期年齢者が、第2波では高齢者が感染。
50歳以上の人が抗体を有しており、 50年以上前に類似のウイルスの流行があったと推測。
ワクチンが開発できた。抗生物質も既に使用可能。

3)香港インフルエンザ(1968-1969)[通称:香港かぜ]
H3N2型。
低い致死率。
全世界での死亡者数は5万6千人以上。
1890年代に類似の型の流行があったとみられる。
アジアインフルがH2N2型で、N2を共有していたため、免疫が防御的に働いたとの説あり。

これら、3回のバンデミック以外に、インフルエンザは今世紀2回流行している。
1940年:イタリアかぜ(H1N1=スペインインフルエンザからの大きな連続変異。正確な意味での新型ウイルスではない)
1977年:ソ連かぜ(H1N1=イタリアかぜと遺伝子的に同一)

【H5N1型鳥インフルエンザ】
[WHO公式発表によるインフルエンザ(H5N1)による発病者数と死亡者数(2008.3.11現在)]
bird-flu2.jpg


1997年に香港で初めて人の感染者発生。発病者18人中6人が死亡(致死率33%)
香港政府は、香港中の鶏を短期間で全て殺処分(450万羽)して、H5N1ウイルスを排除することに成功。
⇒発生地点の5~10km範囲のニワトリ等を直ちに淘汰することが、有効な撲滅法

2005年から、東南アジア・中国を中心に南北アメリカ、オセアニアを除く世界へ拡大。
特に、ヴェトナム、インドネシアでの被害が大きい。
インドネシア(2006.5)と、中国(2007.11)で、限定的ながら、ヒトからヒトへの感染がそれぞれ1例ずつ確認されている。

【ワクチンについて】
「新型インフルエンザ用のワクチン」は、新型インフルエンザウイルスが発生しないと製造することができない。
現時点では、新型インフルエンザウイルスが存在しないため、ワクチンはない。
しかし、日本を含む先進工業国では、これまでの鳥からヒトへ感染した事例から分離されたウイルスを元にワクチン用に開発された種ウイルスから、A/H5N1亜型のインフルエンザウイルスに対するワクチンを開発している。(「プレパンデミックワクチン」と呼ばれる。)
日本では、平成18年から19年にかけて臨床試験が行われており、平成19年度に認可申請が予定されている。
ただし、このワクチンはベトナムで流行したA/H5N1亜型のウイルスをもとに作成されており、現在のA/H5N1亜型からパンデミックが発生したとしても、そのときには抗原性は変化していることが考えられるため、パンデミックとなったときのウイルスに効果があるかどうかはわからない。
しかし、パンデミックワクチンは、ウイルスが発見されてから製造に少なくとも6カ月間かかる。
このため、最初のパンデミック第一波には間に合わないので、状況によっては、少なくとも基礎免疫をつけることができる「プレパンデミックワクチン」を接種することも考えられている。

【治療薬】
鳥インフルエンザウイルスが変異して人に感染する「新型インフルエンザ」が大流行した場合、一時的な対策としてウイルスの増加を抑制するノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビル(商品名タミフル)とザナミビル(商品名リレンザ)が有効であろうと期待されている。
オセルタミビルはスイスのロシュ社、またザナミビルは英国のグラクソ・スミスクライン社(GSK)が製造している。

タミフルの服用時期と効果については、 鳥及び新型インフルエンザ海外直近情報集のトップページ中段過ぎ辺りを。
(このサイトは、小樽保健所長の外岡立人先生が個人でやられている。必読。)

【対処】
パンデミックになった際に可能な限り感染している(かもしれない)ヒトとの接触を減らすことを考えておく。
(1)どのような生活パターンとするかを予め考えておく。
(2)外出機会を減らすために生活必需品を備蓄しておく。

通常のワクチンを接種しておくこと。
完全にワクチンと流行株が一致したなら、感染予防効果は著しくなるが、一致していなくても症状の軽減や死亡率を下げる効果がある。
最近の米国の研究者による報告では、通常のインフルエンザワクチンを接種することで、H5N1鳥インフルエンザ(またはH5N1新型インフルエンザ)に感染した場合の死亡率が減少する可能性が、動物実験で確かめられている。
全くインフルエンザワクチンを受けていないよりは、受けていた方が、万が一、新型インフルエンザが流行して感染した場合に、効果がある程度は期待できるかも知れないとのこと。


新型インフルエンザ・クライシス (岩波ブックレット)

新型インフルエンザ・クライシス (岩波ブックレット)

  • 作者: 外岡 立人
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2006/08
  • メディア: 単行本


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。