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09山陰・山陽1(高梁・吹屋) [旅行]

【1日目 4月29日】
葉書を出せばETCが5,000弱で買えることなっていた。
ただ、持ち前の怠惰さで半年以上放りっぱなしで、漸く、3月中頃になってモノが届く。
取り付けも、知り合いの知り合いにディーラーさんがいて、洒落にならないほど忙しい時期に何とか2,000円でやって貰えた。
こうなると、遠出したくなる。
踊らされているとは理解していてもだ。

朝2時前に家を出て、東名→伊勢湾岸→東名阪→新名神→名神と。
流石に名神から中国自動車道へ入るところでは、10km程度の渋滞となったが、それまでは渋滞もなく、こちらが思っていたほどではなかった。もっと最悪な状態を覚悟していたのだけど。
中国自動車道は更に空いていたし。

さて。
中国自動車道へ入ったはいいけれど、実のところ何も考えていなかった。
「何も」というのは少々大袈裟で、行ってみたい場所は3~4箇所はあったのだが、精々その程度で、勿論宿など取っている訳でもない。呑気なものである。

加西SAで地図を見ていると、中国自動車道から北房JCTで岡山道に入り賀陽ICで降りたところに、備中松山城があるのが目に入る。
この城は、全国に12箇所しかない現存天守(江戸時代前後から江戸末期にかけて建てられた天守閣が現在まで保存されているもの)の一つなのだけど、こういう機会じゃないと来ることもなさそうな気がしたので、軽く寄って行くことにする。

高梁(たかはし)の町外れの駐車場からシャトルバスに乗り、松山城へ。
この城は山城だけに、そこから少し山を登っていく。
いい天気だけに、少し歩いただけで暑くなり、Tシャツ姿に。本当に4月末なのだろうか。
そして、前日に2~3時間ぐらいしか寝てないので、かったるく、少々、ここへ来たことを後悔する。
明治維新後の廃城令であらかたの天守閣はなくなってしまった(あとは太平洋戦争時の空襲や火災など)のだけど、なぜここが残っていたかといえば、山の上にあって取り壊すのが面倒臭かったからで、昭和の始めに修復されるまでは荒れ放題に放置されていたらしい。何となく納得。

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この城は、こじんまりしてるが悪くない。
しかし、火気厳禁のはずの天守閣の中に囲炉裏があるなんて、冬はどんだけ寒いのだろうか。

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再びシャトルバスに乗り、駐車場へ戻る。
そろそろお昼近くなってきたので、駐車場に地元の観光協会のテントらしきものがあったんで、そこにいたお姉さんにどこか食事できる場所を聞いてみる。(いま思えば、この旅の中で唯一若い女性と話した瞬間だったかもしれない。)
その時に貰ったパンフレットの中に惹かれる写真があったんで、場所を聞いてみた。「吹屋(ふきや)ふるさと村」というらしく、ここから30kmほど離れたところらしい。ちょっと行ってみたくなった。
その前に、食事だ。

高梁のは、古い町並みがそれなりに風情がある。
山田洋次監督が、この町で「寅さん」を二度撮影したことがあるってのも解る気がする。
「ゆべし」を売っている店が何軒かあった(いずれも古びたよい感じの店)んで、この辺りの名物なのだろうか?旅の終盤だったら土産に買っていたのだろうけど。

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街中を流れる高梁川(たかはしがわ)の畔に、山中鹿之助のお墓があったんで寄ってみる。
ここで首を切られたらしい。

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国道を離れ、山の中を走っていると、新緑が目に留まる。
こんなに新緑がよいと思ったのは、生まれて始めてかも。

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銅山(吹屋銅山の吉岡銅山笹畝坑道)があって、中が見れるようだったんで寄ってみた。
個人的には、ヘンテコな人形はどうかと…

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「吹屋(ふきや)ふるさと村」に着いたんで、街中を徘徊。
こんな場所があったなんて、日本もまだまだ知らないところが多いなあと思いつつ。

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疲れたので、喫茶店で小休止。
と、そこの店主のお婆さんが、色々と話しをしてくれた。

この街の独特の色合いは、ベンガラによるもの。
ベンガラとは赤色顔料であり、九谷焼、伊万里焼などの陶磁器に彩色する際に用いられるが、日本では、ここでしか採れなかった。
腐食を防ぐ効果もあるため、この集落では木造建築に塗られている。
銅山の銅は江戸時代に全て幕府の代官所に収めていたが、銅を採掘する際の副産物として採れるベンガラは、自分たちの収入に出来たため、やがてこちらの方が主力となった。(現在では銅山は閉山となっている。)


お婆さんは、熱心に1時間ほど話をしてくれた。
嘗て繁栄していたこの街のことを、誰かに少しでも伝えたいという気持ちが理解できたので、こちらも出来る限りちゃんと聞いた。

「不況でリストラとか言われてるけども、この町ではいくらでも人手が要る。だけど、本当に人手がいないから、この歳になってもあれこれ働いている。」と仰っていた。
ここよりはまだ拓けている高梁の町でも、大学が出来て、そこに通う生徒用を当て込んで皆借金をしてアパートを造ったのだけども、遊び場がない場所に住むのを嫌がって、生徒たちは岡山から電車で通ってしまっているらしい。ここじゃ尚更か。
観光客の私にとっては、とても好ましい場所であっても、そこで生活するということは…などとあれこれ考える。

このお婆さんは80歳だし、私と話している間に訪ねてこられた方々も皆、80歳を超えていらっしゃった。
この感じのよい集落が今後あと何年維持していけるのかと思うと、とても絶望的な気持ちになる。
また行く時まで、皆さんお元気でいて欲しいなと思う。
ホント、心から。

ここの町に泊っていきたかったのだけど、13,000円の部屋しかないということで、流石に断念。
新見まで出て、駅前のビジネスホテルに泊まる。
夕飯は駅前で「お祭り寿司」(鯖の姿寿司)などを。
結構、海から遠いこの辺りでは鯖を食べるらしい。鯖みたいな痛み易い魚をってのも面白い。
予約すれば、ワニ(=鮫)も食べられるようだ。広島の奥地で食べるってのは知っていた。
アンモニアが強そうで保存しやすそうな気がするんで、それは何となく解る。

それにしても、初日から全く思っていない展開である。
ほんの思いつきで、少しだけ寄ってみる気になった町でまさか1日が終わるとは。


【関連記事】
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09山陰・山陽3(津和野2)
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コメント 2

ramble

いよいよ、復活ですか。

by ramble (2009-06-20 13:32) 

dr_strangelove

とりあえず更新してみました…
by dr_strangelove (2009-06-21 09:54) 

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